MLAはこんなアンテナです
MLA(マグネチックル−プアンテナ)のル−プ長は、波長に比べて
非常に微小であり、電磁波(電界と磁界)の磁界により動作します。
すなわち、「コイル内を磁力線が横切ると起電力が生じる」という
原理で動作しています。

うまく製作すると、ダイポ−ル並の動作をすると言われていますが、
アンテナ効率は、ル−プ径や材料等で変わります。
送信中は強い磁界と高い電圧(数KV)が発生するため、人をアンテ
ナに近づかせない、触れないといった使用上の注意が必要です。
MLAは、LCR直列共振回路で表現できます。
Lはル−プコイルのインダクタンス、Cはコンデンサ(バリコン等)の
キャパシタンスですが、その他にル−プコイルの抵抗分や接続箇
所の接触抵抗による、レジスタンスRが存在します。

Rが小さいほど、共振点(fc)での高周波電流が大きくなり、アンテ
ナ効率が良いため、ル−プコイルの材料に太い銅管を用いて抵抗
値を低くしたり、接続箇所の接触抵抗を少なくする工夫をします。

しかし一方で、電流が大きいほど、回路により高い電圧が発生する
ため、高耐圧のコンデンサが必要になります。帯域が非常に狭いの
で、一般的にはバリコンを使用してQSYしますが、高耐圧のバリコ
ンは大型で高価、なによりも入手が難しいという問題があります。
また、スマ−トなQSYには、リモ−トでバリコンを細く回転できる機
構が必要です。
この高耐圧バリコンの使用と微細な調整機構が自作の際のネック
(楽しみ?)であり、また、市販の同種のアンテナが高額である理由
の1つと言えます。
バリコン等を手動で操作して共振周波数を変更する場合、所望の周
波数に合わせるには根気が非常に必要で、QSYに手間取っている
間に、QSOのタイミングを逸するといったことがあります。このため、
私の場合はロッドアンテナの出し入れで共振周波数を調整する方式
にしました。手動で充分操作できる量で調整しますので、QSYが簡
単にできます。ベランダとシャックの間を何度も往復する必要があり
ません。この動作原理については、「Q&A」で説明しています。
設置の様子を下の写真に示します。またそれぞれの偏波と指向性に
ついて説明します。なお、偏波は一般的なアンテナと同様に電界成
分の偏波で示します。
左上:垂直偏波、ル−プ面と平行(写真の左右方向)に8の字指向性。
右上:水平偏波、無指向性。
左下:垂直偏波、ル−プ面と平行(突出した方向)に8の字指向性。
右下:水平偏波、無指向性。


紹介しているアンテナは、住宅事情からQRTをよぎなくされている
人が、ベランダ等に目立たないように設置できるコンパクトな大きさ
です。アンテナ効率の点では不利ですので、DXをガンガンやれる
ものではありませんが、無線をそこそこに楽しめるアンテナです。
飛びにはロケ−ションによる影響も大きいので、高層マンション等
では充分実用になると思います。「作品紹介」に運用実績を記載し
てあります。