接地式バーチカルはこんなアンテナです
接地式バーチカルアンテナの基本形は、同軸ケーブルのシールド側(送信機のアース側)
を大地に接地した1/4波長の垂直アンテナです。大地を完全導体平面とした場合、図に
示したように地中に1/4波長のイメージアンテナを考えることができ、自由空間にある
1/2波長のダイポールアンテナにみたてることができます。
もちろんアンテナとして動作するのは、地上側の半分だけですので、アンテナパターンは
実線で示したドーナッツの輪切りをふせたような形になります。

接地アンテナは、アンテナ電流の帰路が大地を通るため接地抵抗による損失が生じます。
接地方法には、アース棒、カウンターポイズ、ラジアル線等がありますが、接地が不充分
で接地抵抗が高いと損失が大きくなります。接地式アンテナは、アースの良否によってア
ンテナ効率が左右されます。
【7〜14MHz釣竿バーチカルアンテナについて】
車での移動運用に使用できる7MHz用のアンテナとして製作しました。接地式バチーカル
アンテナを7MHzで製作すると、垂直エレメントは10mの長さになりますので、ローディング
コイルを入れた短縮型にしています。紹介しているものはベースローディングに近い形で
す。ローディングコイルから上のワイヤの長さは約3.5mです。コイルは損失を少なくする
ため直径を大きくし、コイルの線材も太いものを使用しています。みの虫クリップでコイル
のタップ位置を変えることで、共振周波数を可変できますので10MHzと14MHzでも運用で
きます。

接地は車体アースを利用しました。長いラジアル線等を使用しませんので駐車スペース
から運用できます。私の場合モービル運用はしないため、モービルアンテナ用の基部等
は車に付いてません。また、運用のたびに車体にアース線で接続することも面倒です。
そこで、アース板(アルミ材)を車のルーフに置いて、静電容量結合で車体に接地する
方法にしました。また、このアース板をマッチングボックスと電気的に一体にして、同軸
ケーブルのシールド側を最短距離で接地するようにしています。

マッチングボックスにはトロイダルコイルを使った広帯域のインピーダンス変換回路が
入っています。このタイプのアンテナは、アンテナインピーダンスが50Ωよりも低いの
で、何らかのマッチング回路をもうけないとSWRは下がりません。リグ内蔵のアンテ
ナチューナで見かけ上SWRを下げて運用することはできますが、アンテナの給電点
でマッチングをとることが第一です。
また、7MHz、10MHz、14MHzでは短縮率が異なるため、アンテナインピーダンスはバ
ンドにより変わります。そこで、マッチングボックスにアンテナインピーダンスが、40
Ω、30Ω、20Ωに対応した端子を設けています。運用バンドでSWRが一番下がる端
子に接続(みの虫クリップをはさむ)します。
運用の様子を下の写真に示します。
アンテナは、周波数調整のためローディングコイルに手が届く高さで設置します。垂直
エレメントは軽量な釣り竿なので、棒に釣り竿を取付けてドアドミラーに固定しています。
これは簡易的な固定方法で、長時間の運用ではタイヤベースを使用しています。給電
部の接続端子とローディングコイルの間は、両端にみの虫クリップが付いたワイヤで
接続します。
使用感ですが、7MHz〜14MHzのCWによる国内QSOは10Wで快適にできます。
7MHzのSSBは、10Wでもパイルの中でコールバックをもらうことはありますが、
QRMが激しい時は少しパワーを入れています。30W程度で力不足は感じません。
アンテナの設置がとても楽で、車をとめられる場所であればどこからでもQRVで
きすので、ふらりと出かけた先からの移動運用に重宝しています。
なお、給電部のアルミ板とルーフの間にはアルミホイルを敷いています。ルーフ
の保護(傷付き防止)と接地効果のUPが目的です。